測りたがりの痛がり屋

まいにちの記録

台湾弾丸孤高の旅 その4

3日目。昨夜即寝したとは書きながら、実は胸が詰まるような感覚になりしばらく寝付けなかった。士林夜市がかなり効いた。あの家族カップル友達万歳の中、異国の部屋の角で1人座って極限孤高激ウマ食事をすることで、胃は満たされたのに心が空になり、孤独が随分と深まったのだ。もしかしたら今日を丸一日ベットの中で過ごすのでは、初のひとり海外を引きこもり続け最後の日を迎えてしまうのではと心配だったのに、朝6時に起きて黙々と準備して、ホテルのモーニングビュッフェをパスし、台湾式おにぎりのお店へ向かっていたのだった。執念。

「青島飯團」小さな屋台のおにぎり屋さん、その場でおばあちゃんが握ってくれる。ボディランゲージで意思疎通し合う。紫米?YES。辛いのは入れる?YES。見たことがないド派手な真紫のお米に肉でんぶや揚げパン、高菜のようなやつなどモリモリ入れて巻いて熱々をくれる。こうなるとワクワクが止まらない。忙しいだろうにニコニコしてくれて、これまた温かい。温かいを胸に言葉通り抱き抱え、二二八和平公園まで歩きベンチに座っていただくのだ。待ち遠しくて道中熱々を口に入れたら、少し硬めのもち米が噛むほどに美味しく肉でんぶがブワッと旨み、大成功を確信。大量の様々な具が口に入れるたびに味の変化をもたらしてくれる。最高...。量は、量は半分くらいがいいけど。

 

それからスタバでWi-Fi充電しながら休憩しつつ、このままでは今回目標の駅弁「排骨弁当」が入らないと気付いた。ミーハーとしてはぜひ、鉄道に乗りながら!食べたかったのだ。

対抗策として1時間半かけて台北101まで歩きお腹のキャパを作ることにした。はるか彼方の塔に向かい歩きまくる。そして着いたが台湾一でっかいビル!(テキトー)達成感はあるけどもう結構疲れてて地下のだだっ広いフードコートでにんじんジュースを飲むだけにして、このまま何も食べずにホテルへ帰って寝たいと思ったけど気合いで次の目的に向かう。

台北から台湾鉄道で猫の街に行くのだ。1時間の旅路で、車内で駅弁を食べるのだ。執念。

 

台北に戻ったがいいもののどこを探しても弁当の場所がわからず、はたまた台湾鉄道がそもそもどこか分からなくて、人に聞かずにしばらく歩き回り頑張ったけど見当たらない、方向音痴を呪う。結局たくさんの台湾人に助けてもらってなんなら切符まで買って貰った。

台湾人中国人、見た目も似ていて漢字もなんとなく分かるで近い人たちと考えがちだけど、こちらの中国語がゼロ、相手の日本語がゼロならいざ話せばなんにも分からない。イタリア人みたいなもの、要はしっかり外国人同士。英語もなければ何にも分かり合えないはずなのに、例えば携帯というツールを使って、指差を使って表情を使って、気付けば思った以上に分かり合える。衝撃的だった。

 

いろいろ大奮闘の中やっと辿り着いた電車に乗ってやっと手に入れた弁当を食べた時、感極まって正直泣きそうだった。時間的に誰も車内で食べてなかったけど、降りる人が弁当のゴミ待ってたし、私が弁当空けても誰もオイ!って感じで見てこないからOKですね?!と食べ始めた。メトロだったら水飲むのさえ罰金らしいからややこしい。

そしてこの弁当、絶対にまた食べたい。台湾で何か食べるたびに旨いが更新されていく。じゅわじゅわのスペアリブ、大好きな硬さの日本のおでんに入ってるようなゆで卵、懐かしい味のかまぼこ。その下に思った以上にたくさんの、味が薄めで食べやすい野菜たちが敷き詰められている、野菜不足だったので助かる。そして全てが合わさってごはんに合う合う。しっかり完食した。文字通りスペアリブの骨の髄まで。

窓の外が都会から緑豊かな自然&古建物へと景色が移り変わっていく。満足と達成感が足元からジワジワ込み上げてくるようだった。

 

ここで早くも変化が訪れていた。ひとりがあまり寂しくない。猫の街に行く道中も家族や恋人友達同士の観光客でいっぱいで1人なんて私くらいだったけど平然としていた。ただ疲れてるだけってわけでもなく、あんまり1人であることが気にならなくなっていた。あの人とここを見たいな、あの子と楽しめたらなはあるとして。それじゃなくて。人の慣れって、すごー!!!そして着いて、猫、かわいー!野良猫たちは皆カッコよくしなやか。うちの猫ちゃんとはまた違うふてぶてしさ、人間なんて気にしない。餌はちょうだいね。おおらかな大自然の街並み背景が非常によく似合う。写真下手が撮っても映え映えだ。真の映えがここにあった。台北の都会的なのもいいけど、やっぱりおおらかな自然の中でこそ台湾の街並み、そして猫が映える。昨日の孤独、しばらく消えないのではとけっこう心配だったのに、ぽっかりと空いた穴がじわじわ満たされていくのを感じた。人の優しさ、猫、大自然、新しい体験。私もいつか野良猫のような強さしなやかさを手に入れられるのではないか、そんな淡い期待を抱きながらも、私はしっかりホテルのハッピーアワーを求めて帰路に着く。