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測りたがりの痛がり屋

イラストと一緒に、特に特別でもないけど愛しい毎日を、ぼちぼちお酒呑みながら書いて行きます。

降りそびれた子

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石垣島で仲良くなった同い年の転職組のほたるくんに誘われ、初めての鳩間島に行ってきた。人口70人ほどの小さな島である。そこである事件が起こった。

美しい海の中をごうごうと走るフェリーを楽しみ、鳩間島に到着したと見えた。だが誰も人が降りずアナウンスも流れないので、私はしばらくそのまま待機していた。するとフェリーは動き出し、別の所で降りるのかしらとボーっとしていると、みるみる内にまた海に向かっていく。到着時間も過ぎているしこれはおかしいぞと、添乗員のお兄さんに「鳩間ってまだですか?」と聞いた。すると「鳩間降りるの!?」とびっくりされ、あわてた様子でたくさんの乗客のいるフェリーをぐりんと廻して引き返してくれたのだ。
ターミナルに遅れて到着しヨタヨタと歩いていると、宿のおじいが迎えに来てくれていたが、大層笑われた。会う人会う人に「降りそびれた子か!」と笑われ、私は一日にして鳩間島の有名人となったのだった。でもとにかく鳩間島良かったんだ。今も感動でボーっとしてる状態である。(ボーっとしすぎ)売店はなく、ネットもなかなか繋がらない。ごくごくシンプルな生活にそのままの状態の大自然が一段と映え、ただただ静かに贅沢に時が流れる。島の真ん中を30分くらいで突っ切って、岩の木陰で絵を描いていた。 
f:id:amarino:20150406220136j:plain泊まったのはペンションタイプの「マイトウゼ」という宿で、美味しいご飯が三食付で5000円というとても良心的で素晴らしい宿だった。掛けてあった時計が5時間くらい遅れていたのがなんか良かった。 
果てしなく青く透明な海と空を目の前にして、よく冷えたオリオンビールを飲む。不思議な形の木々や花。すたこら逃げていくヤギやトカゲ。海に飲まれていく真っ赤な夕日、こぼれそうな一面の星星。一生忘れないだろう。
夜ご飯を食べてからほたるくんと散歩をしていると、「あ!降りそびれた姉ちゃんか!」と声を掛けられ、3人の個性的なおじいたちと飲むことになった。大量に釣った魚をその場でさばいてくれたが、鳩間では醤油に少し酢を入れて食べるようだ。身がぷりぷりして美味しい。自由なおじいたちはエイリアンのようなヤシガニをその場で捕まえ見せてくれたり、紅一点だったため私はおじいに人気が高く、ほたるくんをしきりに帰そうとするくだりが何十回も繰り広げられ笑った。一人のおじいがなんと三線のプロで、みんなでたくさん歌って踊って飲んだ。三線の音色は本当にすばらしくて涙腺を刺激され、おじいめっちゃかっこよかった。途中から学校の先生をしているという23歳と26歳の愉快な二人組みが参加し、宴会は夜中の2時まで全速力で続いたのだった。絶対おじいたちは私より圧倒的に体力がある。 

 虫除け忘れたよ、とかドライヤーがないよ、お風呂に虫がいっぱいだよ、ああネットがしたい。そういちいちどこかで考える自分を圧倒的な大自然の中で情けなく思った。見た目とか、仕方の無いことにとらわれすぎて、左右されすぎてダメだ。でもそうやって気づくというのはとてもありがたいことで、少しだけだけど自分の中で気持ちが変わった気がする。東京暮らしの中で、ちょっと斜に構え、妙に人との距離を作ろうとしては、その癖心に木枯らしが吹いていたようなところがあった。でも嫌味なく心の距離を狭めて接してくれるたくさんの人との出会いの中で、そういう余計な自分を脱ぎ捨てることができそうな気がする。女性として大事な部分はちゃんと持ちつつ、もっとオープンに、しょうもないことに囚われないでたくさんの人と出会って、めいいっぱいこの世界と向き合って生きて行きたいと思った。